経済を理解するために知っておきたい「景気の指標」のまとめと解説
※本ページはプロモーションが含まれています「景気」とは、社会の景色や雰囲気を表す言葉として使われてきました。
経済では、経済活動全体の流れや動向などの雰囲気を「景気」と呼んでいます。
経済活動が活発で、ビジネスが上手く行っている時を「景気が良い」、経済活動がイマイチでビジネスがうまくいかない時を「景気が悪い」などと表現します。
では、具体的に景気が良い、悪いとはどのような基準で判断されるのでしょうか?
経営敵には、自分の回りだけを見て感覚で判断することもできますが、経済では、地域や国ごとの大きなまとまりとして判断します。
そこで使われるのが「景気指標」です。
ここでは、主な景気の指標とその内容について紹介します。
国内総生産(GDP)
GDPとは、国内の経済活動によって新たに生み出された財・サービスの付加価値の合計のことです。
例えば、
農家の人が原価10円のキャベツを50円でスーパーに売り、
スーパーは100円で消費者に売ったとします。
この場合の各者の利益は、
農家:
50円 − 10円 =40円
スーパー:
100円 ー 50円 = 50円
となります。
GDPとは付加価値の合計、つまり利益の合計なので、この場合のGDPは90円になります。
GDPが増えるということは、利益がそれだけ増えたということになり、過去と比較して景気が良いのか悪いのかを判断する一助となるのです。
GDPは、内閣府が年4回発表しています。
三面等価の原則
GDPは生産面、分配面、支出面から見ることができ、そのいずれの計算の合計は全て等しくなるというのが三面等価の原則です。
生産面
生産面のGDPは生み出された利益の合計です。上記で説明した通りのGDPの数字になります。
配分面
経済活動によって生み出された利益は、企業、従業員所得、政府(税金)などに分けられます。
分配面のGDPは企業、従業員所得、税金の合計で求められるので、必然的に生産面のGDPと同じになります。
支出面
支出面のGDPは、民間の消費支出や在庫、貯蓄額、政府の消費支出額や在庫額などの合計から求められます。
これらは、配分されたお金を消費した金額なので、支出面のGDPは分配面のGDPと同じになります。
三面等価の原則は、このように計算方法は違えどGDPの額が同じになる原則となります。
名目GDP
名目GDPとは、キャベツの例で紹介した計算で求められ、GDPを時価で評価したものです。
実質GDP
実質GDPとは、物価の上昇を考慮してその年に生産された財の本当の価値を算出したものです。
例えば、先程のキャベツの例でスーパーの部分だけ見てみます、50円で仕入れたキャベツを100円で10個売った時のGDPは、
(100円−50円)×10=500円
です。そして、翌年物価が2倍に上昇したため、100円で仕入れたキャベツを200円で販売したときのGDPは、
(200円ー100円)×10=1,000円
になります。GDPが500円から1,000円へと2倍に増え、経済が成長したように見えます。
しかし、前年の得た利益500円で買えるキャベツは
500円÷100円=5個
翌年は、
1,000円÷200円=5個
と、購入できるキャベツの個数は変わりません。手にした金額は増えてもそのお金で買えるものが変わらないのなら経済成長しているとはいえません。
なので、物価上昇を考慮した実質GDPが必要になるのです。
経済成長率
経済成長率とは、一国の経済規模の1年間における成長率のことで、一般的にGDP(実質GDP)の伸び率のことです。
景気動向指数
景気動向指数とは、景気の状況を総合的にみるために、複数の指標を統合した景気指標です。
景気動向指数は内閣府が毎月発表しています。
景気動向指数に採用されている指標
景気動向指数は、景気に対して敏感に動く28の指標を統合して算出します。
景気動向指数に採用されている指標には、景気に対して先行して動く「先行指数」、ほぼ一致して動く「一致指数」、遅れて動く「遅行指数」の3つがあります。
先行指標には「新設住宅着工床面積」、一致系指数には「有効求人倍率」、遅行指数には「完全失業率」などがあります。
その他の指標は内閣府のWebサイトで。
関連:個別系列の概要 – 内閣府
CIとDI
景気動向指数には、CI(コンポジット・インデックス)とDI(ディフュージョン・インデックス)の2種類があります。
従来はDIが中心でしたが、CI方式の方が景気動向の変化をきめ細かく示せたり、世界的にCIが中心(DIとの併用の場合が多い)との理由で、平成20年4月よりCIを中心に発表されるようになりました。
CI(コンポジット・インデックス)
景気に敏感に反応するという観点から選ばれた指標の変化量を合成したもので、主として景気変動の大きさやテンポ(量感)を表します。
一般に、一致指数が上昇している時は景気の拡張局面、一致指数が低下している時は景気の後退局面と判断されます。
DI(ディフュージョン・インデックス)
各指標を3ヵ月前と比較して、良くなっている(プラスになっている)ものの割合を表しています。
DIが50%を上回っているときは景気の拡張局面、50%を下回っている場合は後退局面と判断されます。
日銀短観
日銀短観の正式名称は、全国企業短期経済観測調査といいます。日銀短観は、日本銀行が年4回、上場企業や中小企業を含む1万社に対して、現状と3ヵ月後の景気動向に関する調査(アンケート)を行い、それを集計したものです。
調査項目はさまざまありますが、中でも注目されるのが業況判断DIで、現状よりも3ヵ月後の業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いて計算されます。
マネーストック
マネーストック(通貨残高)とは、個人や法人(金融機関以外)、地方公共団体などが保有する通貨の総量のことです。
なお、国や金融機関が保有する通貨は含みません。
マネーストックは日本銀行が毎月発表しています。
物価指数
物価指数とは、ある分野についての総合的な物価水準を指標によって表したものです。
物価指数には、企業物価指数と消費者物価指数があります。
企業物価指数
企業間で取引される商品(サービスは覗く)の価格変動を表す指数で、日本銀行が毎月発表しています。
原油価格や為替相場の変動を受けるため、消費者物価指数より変動が激しいのが特徴です。
消費者物価指数
全国の一般消費者が購入する商品やサービスの価格変動を表す指数で、総務省が毎月発表しています。
企業物価の変動があった場合、一定期間を置いてから消費者物価指数が動く傾向にあります。
家計調査と消費動向調査
家計調査とは、全国の消費者世帯約9,000世帯を対象に、総務省が毎月実施している調査です。
一方、消費動向調査とは、消費者の意識の変化やサービスなどへの支出、テレビ、パソコン、携帯電話など、おもな耐久消費財の保有状況や購入状況を把握するために、内閣府が毎月調査しているものです。
なかでも、消費動向調査の結果から算出される「消費者態度指数」は半年先の消費動向を表すものとされ、今後の消費動向を予想するためにも注目度の高い指標といわれます。
おわりに
以上、一般的な景気指標とその解説を紹介しました。
ニュースの経済コーナーなどでよく耳にする指標もあったと思います。
その指標が何を表してるのかを知ると、より経済の理解が深まるはずです。