ガソリン、軽油、灯油、重油、燃料の違いわかりますか?
※本ページはプロモーションが含まれていますセルフ式のガソリンスタンドでガソリン車に軽油を入れて動かなくなったという話を聞きました。
自分の車ならともかく、事業用の車など普段乗らない車の燃料はガソリンなのか軽油なのかわからないですよね。ストーブや発電機などにどの燃料を使えばいいのかも曖昧なところがあります。
これらを理解するには「石油」から紐解いていく必要があります。
この記事では、ガソリン、軽油、ハイオク、灯油などの燃料の違いについて紹介します。
「石油」は曖昧な言葉
ガソリン、軽油、ハイオク、灯油などの源の、「石油」という言葉をよく聞きますが、実はとても曖昧な言葉なのです。
広い意味では、地下深くから発掘できる可燃性の物質の呼び方で、同時に発掘される天然ガスや液体の原油、個体のアスファルトのことをまとめて「石油」と呼びます。
しかし、狭い意味では、液体の原油のことを「石油」と呼ぶこともあるので、物質の名前というより、発掘される可燃物質の総称、原油から精製されるものの総称と思ったほうが良いでしょう。
話の流れから「原油」のことを指しているのか、「発掘された可燃物質の総称」として使われているのか、「原油から精製される全てのモノ」の総称しているのか、意識する必要があります。
また、「石油」を更にややこしくしているのが「石油ストーブ」です。
石油ストーブで使われるのは原油を精製してできた「灯油」です。
「石油」という燃料が市場に流通しているわけではないので、ホームセンターなどで「石油ください!」というと恥ずかしいので注意しましょう。
ですが、「石油 = 灯油」という認識も少なからずあるので、なんとか通じる可能性はあります。
「石油」はとても曖昧な言葉で、話の流れで何を指しているのか変わるので注意しましょう。
発掘された状態の「原油」
地下深くから発掘された状態の油で、ガス、水分、異物などを大まかに取り除いた液体の油を「原油」と呼びます。
日本はこの原油をそのまま輸入し、精製所でガソリンや灯油、軽油、重油などの各燃料に分けています。
各燃料への分け方は、それぞれの燃料の沸点温度の違いによって気化させて取り出しています。
気化しやすい順は「LPガス>ガソリン>灯油>軽油>重油」の順です。
液化石油ガス(LPガスまたはプロパンガス)
沸点が一番低いのが液化石油ガス(35度以上)です。
英語では Liquefied Petroleum gasなので一般的にLPガスと呼ばれたり、プロパンが含まれているのでプロパンガスとも呼ばれたりしています。
用途
家庭用のガスや、LPガス自動車(一部のタクシーやバス、トラック)などに使われている。
ガソリン
30度から220度の温度で精製できる石油製品がガソリンです。
アメリカでは「gas(ガス)」と呼ばれることが多く、自動車などの燃料切れを意味する「ガス欠」はここからきています。
ガソリンの中でも、低沸点(30度〜120度)のものはベンジンと呼ばれ、溶剤やしみ抜きに使われています。
ガソリンにはレギューラーとハイオクがありますが、通常のガソリンがレギュラーです。
ハイオクはレギュラーより高い(ハイ)オクタン価(オク)のガソリンのこと。
オクタン価とは、ガソリンが燃える時のノッキング(振動)を表し、オクタン価が高いほどノッキングが少なく燃焼するため、価格がレギュラーより高くなっています。
レギュラーガソリンの車にハイオクを入れても問題ないが、ハイオク仕様の車にレギュラーガソリンを入れると性能の低下や故障の原因になるので絶対に入れないようにしましょう。
また、車には燃料ごとにガソリンエンジン車とディーゼルエンジン車に分けられます。
名前の通り、ガソリンエンジン車はガソリンを燃料として設計しているので、ガソリンでないと動きません。
ディーゼルエンジン車は軽油を燃料として設計しているので、軽油でないと動きません。
設計上使える燃料が決まっているので、ガソリンエンジン車に軽油を入れたり、ディーゼルエンジン車にガソリンを入れたりすると壊れます。
お使いの車の燃料は何なのかしっかり確認しましょう。
用途
自動車や農業用、林業用等の内燃機関、クリーニング店のしみ抜きなどに用いられている。
灯油(とうゆ)
沸点範囲が170度から250度程度の石油製品が灯油です。
日常生活では灯油を「石油」と呼ぶことも多くなっています。
もともと灯りのための油なので「灯油」と書き、灯りのための灯油は「ともしびあぶら」と読みます。
用途
現在では暖房器具や給湯器、燃料電池などの燃料に使われ、工業用や産業用に洗浄・溶剤として使われる。
軽油(ディーゼル)
240度から360度の温度で精製できる石油製品が軽油。
ディーゼルエンジンの燃料として使われているので、ディーゼル燃料とも呼ばれる。
高出力で燃費が良いため、負荷の大きいバスやトラック等に向いており、またガソリンよりも税金が安いため、安く購入することができます。
軽油は次項で紹介する「重油」に対して軽いということで付けられた名前で、「軽自動車用の燃料」という意味ではありません。
「軽自動車だから軽油を入れた」
という冒頭で紹介した勘違いは名前が似ているから起こるのでしょうね。
軽自動車は特殊な例を除いてほぼガソリン車なので注意しましょう。
用途
主にディーゼルエンジンの燃料として用いられています。
バスやトラックなどの大型車、鉄道車両・船舶用のディーゼル燃料として使われています。
重油
上記の精製が終わったあとに残った油が重油です。
重粘質であることから「重油」と名付けられました。
用途
非自動車用ディーゼルエンジン、及び工場、病院、学校、ビルなどの小・中規模ボイラーの燃料や温風暖房などに使われています。
おわりに
上記のように石油からいろいろな燃料が精製され、その燃料ごとに特徴や用途があり、内燃機関に合った燃料を使わないと故障の原因になります。
燃料の種類を知り、使おうとしている機械がどの燃料で動いているのか知ることが重要です。
また、燃料によっては呼び方が違ったり、性能を向上させたものがあるのにも注意が要ります。
例えば灯油は石油と呼ぶこともあり、石油ストープ用にホームセンターで「石油ください」と言うと恥ずかしい思いをするかもしれません。
ガソリンにはハイオク(高オクタン価ガソリン)があり、ハイオク専用エンジンにはガソリン(レギュラーガソリン)は使用できないが、レギュラー使用のエンジンにはハイオクが使えるなどがあります。
燃料は燃えるものだからみんな同じような気がしていましたが、こうやって調べることで燃料について理解し、安全に確実に取り扱っていきたいと思います。